The French Laundry/フレンチランドリー(フレンチレストラン)総合93点

全米一予約の取れないミシュラン三ツ星レストラン

french-laundry-0フレンチランドリーはナパバレーの中心、”Yountville(ヨントヴィル)”に位置するニューアメリカン風フレンチレストラン。全米一予約の取れないレストランと言われ、2003年と2004年には世界のトップ50レストランランキングの世界No.1を獲得している。また、2006年にミシュランガイド”サンフランシスコ・ワインカントリー”版が出版されて以来、連続して3つ星を取り続けている唯一のお店。シェフ兼オーナーのThomas keller(トーマスケラー)氏はNapaのフレンチランドリーに加えてNew YorkのPer Se(パーセ)でも三つ星を獲得しているスーパースーターシェフで、アメリカで初の2つの異なるお店で同時に三つ星を獲得した人物でもある。
french_laundry_extフレンチランドリーの建物は石造りの2階建ての素朴な建物で、知らなければ通り過ぎてしまうような感じ。アメリカ合衆国の指定する歴史登録財に指定されているこの建物は、1980年代に酒場として建てられ、アメリカの禁酒法時代には一時売春宿となったこともあった。その後1920年終わり頃に買い取った夫婦がフランスのスチームランドリー店を営業。更に1974年に町長夫妻がこの場所を買い取り、改装してレストランとしてオープン。その際に誰もがこの場所を”The French Laundry”と認識していたため、そのままその名前を使用。
その後、1994年にトーマスケラー氏が買い取って現在のフレンチランドリーをオープンさせることとなる。彼はフランスの片田舎にある三ツ星レストランのようにファインダイニングながら居心地の良い、そんなレストランを作るにあたって、この場所を選んだと言う。ちなみにケラー氏はもうキッチンの中には居ない。フレンチランドリーから歩いて数分のところに同氏が経営するビストロのBouchon(ブション)とBouchon Bakery(ブションベーカリー)があり、こちらも美味しい。

さて、どうやって予約を取るか?

Frenchlaundry_1 (1)全米一予約の取れないかつ世界でもナンバーワンになった経歴を持つ、一度は行ってみたいFrench Laundryに、まずどうやって予約を取るかが問題である。2ヶ月前から予約を取り始めるのだが、常に満席で本当に予約が取れない。Open Tableというレストラン予約サイト経由でも予約できるのだが、今まで何度もトライするも一度もオープンテーブルで空席を見つけた事が無いので、このレストランはオープンテーブルを入れている意味があるのか?とすら思ってしまう状況だ。

でもそんなFrench Laundryも実は狙い目がある。ここは予約の際に必ずクレジットカード情報を要求される。そしてもし都合が悪くなった際には3日前までにキャンセルの旨を連絡しないと一人当たり$100をクレジットカードにチャージされてしまう。つまり、大抵の人は2ヶ月も前に予約を入れるが、もちろん都合が悪くなることだってある。でも行けるかもしれないと予約をホールドしたまま過ごし、キャンセル料がチャージされる前のタイミングでキャンセルの連絡をするのだ。
よって狙い目はキャンセルが発生しやすい直近1週間ということとなる。こまめにお店に電話をし、直近一週間の状況を確認する、もしくは場合によってはウエイティングリストに入れてもらって、向こうから連絡してきてくれる時もある。
実際に私はこの方法を使って、トライし始めてから一週間経たないくらいに予約を取ることが出来た。

ちなみに正攻法でいく、もしくは特定の行きたい日が決まっている場合のやり方は2つだ。
① Open Table
opentablehttp://www.opentable.com/the-french-laundry
3テーブル分の予約が2ヶ月先(4月1日なら6月1日)の夜12時(アメリカパシフィック時間)にリリースされる。3テーブルのうち1つが2人用で他は4人用らしい。たった3テーブル分なので、これはまさに時間との戦いだ。クレジットカード情報の入力を求められるので、事前に準備しておくことも大切だ。最初に予約画面に進んだ人ではなく、最初に予約完了まで行った人の勝ちとなるので入力に手間取れないことにも注意したい。

② 電話での予約【番号(707) 944-2380】
phone同じく2ヶ月前の朝10時からスタートする。9時55分に繋がっても、予約時間終了のメッセージに繋がるだけなので、10時を過ぎていないといけない。そして10時を過ぎる前辺りから、電話がビジーになり始め、10時を過ぎた頃にはもう繋がらなくなっている。ようやく繋がった頃には満席というのがオチだ。これはどうしようも無い事なので、こまめにトライするしかない。

こういった状況なので、予定がある程度フレキシブルに立てられる方は直近キャンセル狙いをお勧めする。

肝心のお料理は?

コースは日替わりで2種類。9種のChef’s tasting menuとベジタリアン向け9種のTasting of Vegetablesのいずれか。どちらもプリフィックスコースとなっており値段は同じ270ドル(サービス料込み)。選択する品によっては30−100ドルの追加料金がかかる。ベジタリアンではないので通常のコースをオーダー。当日のメニューはHP上でも確認することが出来る。

french-laundry-3アミューズその1(Salmon cornets)
もうこのアミューズを食べただけであまりの美味しさに悶絶。フレンチランドリーの持つ底力を知る。サクサクのコーンの中にスモークサーモンのタルタルとサワークリームが入っている。

frenchlaundry-amuse2アミューズその2(Gruyère gougères)
フレンチレストランのアミューズで良く見かける暖かいチーズパフだが中にチーズ入り。美味しい。

frenchlaundry-champagneハーフボトルのシャンパン 110ドル(Pierre Peters, Blanc de Blancs, “Cuveé de Réserve,” Le Mesnil-sur-Oger, Grand Cru $110)
ソムリエにセレクトしてもらったフランスシャンパーニュ地方のこのシャンパン、とても美味しかったのだが、、、後ほど購入しようかとネットで調べてみたところ、ハーフボトルの小売価格が約$30のシャンパンだったので、約3.7倍の提供価格ということになる。お店でワインリストを見た時にも高めの設定だなと思ったが、チップ(通常はこのクラスのレストランなら価格に+20%を加える必要がある)込みの価格なので、実質価格は約3倍といったところか。

ちなみにこのお店、ワインリストだけで120ページもある。ワインリストはiPadで渡されるのだが、とても見切れない。120ページの中から選べる程のワイン通でなければソムリエに任せた方がいいだろう。このお店で最も高価なワインは”Romanée-Conti, Grand Cru − Domaine de la Romanée-Conti2005″グランクリュのドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ2005年もので、そのお値段は何と27,500ドル(日本円にして約275万円)。

french-laundry-oyster-pearls1皿目:オイスターとキャビアのお口取り(Oysters and Pearls)
日替わりでどんどんメニューが変わるフレンチランドリーにおいて、唯一毎晩サーブされるこのアイランドクリーク産のオイスターとチョウザメキャビアの差バイヨンソース仕立て。ソースにはパールに見立てたタピオカが入っている。驚く程クリーミーで、全てが口の中で異なる食感が融合して溶けていく感じ。唯一毎日サーブされるというのも納得の秀逸な一品。

frenchlaundry-breadフレンチランドリーから数分のところにある系列のブションベーカリーから来ていると思われるパン。5種類程から選ぶことが出来、バターも2種類。とても美味しいパンだが、この先の長ーいコースを考えると食べ過ぎには要注意である。

frenchlaundry-22皿目:フォアグラのテリーヌ 追加30ドル(Moulard Duck “Foie Gras au Torchon”)
リッチで濃厚、でも柔らかくてクリーミー、甘さを感じるフォアグラ。パリの3つ星レストランで食べた記憶が蘇る過去最高の一品。添えられているソースはチョコレートソースで上にのっているのはチコリとウォールナッツ。あまりの美味しさと濃厚さにゆっくり丁寧に食べていたら、フォアグラ用に添えられた写真奥のパンがまだ一口しか食べていないのに下げられてしまった。なんと!と思っていると新しい暖かい焼きたてに交換された。時間が経ったといっても恐らく数分のレベルだったと思うが、このサービスのきめ細かさ。何も付けなくても十分美味しいが、グレーのフランス産岩塩、ピンクのモンタナで採掘された塩、白の深海の塩をお好みで付けるようにサーブされる。
french-laundry-saltお気づきの方も居るかもしれないが、こちら一年程前に訪問した際の訪問記である。現在カリフォルニア州ではフォアグラの提供は禁止されているので、フレンチランドリーのメニューからも消えてしまった。この世界最高峰の一品がもう食べられないと思うと残念と思わざるを得ない。

french-laundry-whitewineハーフボトルのシャルドネ 125ドル(Modicum, “Hudson Vineyard,” Napa Valley 2010 $125)
ソムリエにセレクトしてもらったナパの著名ワインの生産地Hudson Vineyardのシャルドネ。ModicumはフレンチランドリーのワインディレクターであるPaul Robertsが作っているワイナリーでいわばフレンチランドリーのハウスラベル。すっきりとした味わいで美味しかったが、かなり限定生産のものらしく、ネット上での販売は見当たらなかった。

frenchlaundry-33皿目:レッドスナッパーのソテー(Sautéed Fillet Of Gulf Coast Red Snapper)
レッドスナッパーとは広義の意味で鯛の一種で白身に赤い皮を持っている魚。それをソテーにして、フレンチランドリーの菜園で育ったビーツと、蒸した松の実、100年物のバルサミコソースが添えられている。皮はカリッと、中はかなりレアな感じで、よく煮詰められた年代物バルサミコのソースと良く合う。

frenchlaundry-44皿目:ロブスターのフリカッセ(Sweet butter-poached maine lobster “Fricassée” )
バターでソテーされたロブスターに、あわび茸(食感が歯ごたえがあってアワビに似ていることからあわび茸/abalone mushroomと名付けられたそう)とナンテスキャロット、イングリッシュピが付き、ロブスターのブイヨンで仕上げられている。ロブスターの旨味が凝縮しており、もちろん美味しい。

french-laundry-redwineハーフボトルのピノノワール 125ドル(Copain, “Kiser Vineyard – En Haut,” Anderson Valley 2009 $125)
カイザーはアンダーソン・ヴァレーの奥にある畑で、このワインはCopainのシグネチャーボトル。花畑のような優雅なアロマに、酸がしっかりしたミディアム・ボディーのワイン。ボリューム感と凝縮感に富み、軽やかで美しく長い後味があるとのテイスティングノート。こちらもちょっと気になったので値段を確認してみるとフルボトルで$75だったのでハーフなら$40程度だろう。やはりここはワインのコストパフォーマンスが良くないと思う。

frenchlaundry-55皿目:鶉のモモ肉のコンフィ(Wolfe Ranch “Cuisse De Caille”)
鶉の肉の中には仔牛の胸腺のシビレである柔らかな”リードヴォー”が入っている。ソースはミシガン産のチェリー、マデラ酒、トリュフのみじん切り、フォアグラのピュレを加えた濃厚で少し甘みのあるソースで仕上げられている。お肉は柔らかくてジューシーで完璧に調理されている。

frenchlaundry-66皿目:ラム肉(Elysian fields farm lamb Saddle)
ラムの中でも最も柔らかいサドル部分のグリル。キヌアという穀物をクリスピーに仕上げたもの、カリフラワー、茄子、キュウリ等が添えられている。とても柔らかなお肉で美味しかった。

frenchlaundry-77皿目チーズ(Délice De Bourgogne)
フランスブルゴーニュ地方の乳牛から取れるリッチでクリーミーなデザートのようなチーズ。揚げ餃子のような見た目のものはバルバジュアンというモナコ発祥の小麦粉の生地にイラクサという植物のペーストを包んだ包み揚げ。下のベースは洋梨。この時点でかなりお腹一杯だったので、正直このチーズの一皿はちょっと余分に感じた。

frenchlaundry-solbet8皿目:クリームヨーグルトソルベ(Cream Yogurt Sherbet)
トーストされたオーツ麦とザクロが添えられている。軽いヨーグルトソルベで胃袋も若干復活。

frenchlaundry-99皿目:チョコレートムース(Marjolaine – Praline musse)
チョコレートムース上に乗っているのはアーモンド風味のメレンゲを使った焼き菓子のダックワーズ。付け合わせのアイスクリームは焼きバナナのソルベ。やはり美味しいレストランは最後のデザートまで裏切らない。
しかしこの時点でかなり満腹でチョコレートをデザートに選択するのはちょっと重かったか。。なんて思っていると、9皿のコースが終わった後もデザートが止まらない。

french-laundry-donutsフライされたばかりのドーナッツや、エスプレッソセミフレッドカプチーノ、美しく並んだハウスメイドチョコレート、ローストされたマカダミアナッツのキャラメルコーティングとチョコレートコーティング等々どんどん運ばれてくる。

french-laundry-chocolateさすがに同行者も含めて全員満腹で食べきれなかったところ、持ち帰り用に綺麗にラッピングしてくれた。持ち帰りにはお土産のショートブレッドクッキーを含んでいる。

french-laundry-sweets希望すればキッチンの中も閲覧可能。シェフの多さ加減から手間のかかり具合が伺える。


今回の食事、入店してから退店するまでになんと4時間20分を要した。特別長居していたわけではない。品数が多いので、さっさと食べたとしても最低2時間半−3時間はかかるだろう。料理の内容は噂に違わぬ名店らしい完成度で大満足であった。特に気に入ったのは1皿目のキャビアとオイスターのお口取りと、2皿目のフォアグラのテリーヌだ。
今回の食事はワインとTAXを含めると一人あたり450−500ドルの内容であった。決して安い金額ではない。しかし、もう一度訪れたいか?と言われたら答えはもちろん・・・”Yes”だ。

SF BiteBite’s評価(総合93点)

味 39点(40点満点)
コストパフォーマンス 15点(20点満点) ※ワインの価格設定によりマイナス
サービス 10点(10点満点)
雰囲気 10点(10点満点)
独創性 9点(10点満点)
清潔感 10点(10点満点)

The French Laundry(ナパバレー・ヨントヴィル地区)

http://www.frenchlaundry.com/
6640 Washington St
Yountville, CA 94599
(707) 944-2380
Mon-Sun 5:30 pm – 9:30 pm
Fri-Sun 11 am – 1 pm
服装:フォーマル(ジャケット要)