State Bird Provisions/ステイトバードプロビジョンズ(ニューアメリカン)総合80点

超予約の取りづらい斬新なレストラン

state-lineオープンしたのは2012年1月とまだ新しいレストランではあるが、瞬く間に人気のお店となり、現在では2ヶ月先の予約まで一杯という、サンフランシスコで最も予約の取りづらいレストランの一つとなっている。State BirdのHPから60日先までオンラインで予約が出来る(http://statebirdsf.com/reservations/)のだが、予約しようとしても空席が出てこない。空席が出てこない場合は60日分の予約が既に埋まっているということだ。7×7というマガジンが行った地元の人が選ぶベストレストラン調査でも “ベストニューレストラン” に選ばれている

state-counter2ヶ月待てない方はウォークインといって、予約無しで限られたカウンター席を先着順でゲットすることが出来る。前回のステイトバード訪問時はオープン間もなかったので予約が出来たが、今回は予約無しでウォークインをトライしてみた。お店のオープンは5時半で、混雑を予想しそれより少し早い5時15分に到着したのだが、既に20人弱が並んでいる。

state-insideオープンと同時に予約がある人は順に案内されテーブル席は満席に、残った席がウォークインに割り当てられる。順番が回ってきた時には、既に割当分は完了して二回目の7時−7時半のタイミングを皆案内されていたが、運良くスタンディングで良ければ入れるということだったので、そのままスタンディングで入ることに。

state-wagonこのお店の何がそんなに人気なのかと言うと、料理が美味しいことはもちろんだが、その斬新なスタイルだろう。料理のほとんどが “飲茶スタイル” となっている。つまり、ワゴンやトレーでいくつかの料理を運んできた中から、自分の気に入った物を取るというスタイルなのだ。出来上がったものが見えているので分かりやすく、次々と運ばれてくる料理を選ぶのも楽しい。中華の飲茶以外でそのスタイルを取っているレストランは初めてだ。

state-trayまた、料理がタパススタイルでもあり、一皿が少量・低価格で色々な品を楽しめる。ワゴンだと冷えてしまわないのかとか色々と心配になるが、①最終的なソースかけ等の仕上げは、サーブするタイミングで行う、②暖かい料理は別途オーダーするシステムになっている等、随所に工夫がされている。

state-standingスタンディングだが、調理風景が見られる特等席。

state-oysterオイスター 3ドル/個(ワゴンより、raw oyster with spicy kohlrabi kraut & sesame $3/each)
オーダーするとちょっとスパイシーなソースをかけてサーブしてくれる。これはオーソドックスなソースの方が好みだ。
state-breadガーリックブレッド 8ドル(ワゴンより、garlic bread with burrata $8)
ブラータチーズというモッツアレラチーズとクリームから作るイタリアのフレッシュチーズたっぷりと乗せたガーリックブレッド。パンは外側はクリスピーだが中はもちもちで、あっさとしたブラータチーズと良く合う。

state-saladスパイシーサラダ 5ドル(ワゴンより、roasted vegetable ‘romesco’ $5)
アスパラ、葱、アーモンド等をスパイシーなソースで和えたものに、数種類の穀物が乗っている。

state-duckダックレバームース 6ドル(ワゴンより、duck liver mousse with almond biscuit $6)
ほんのり甘い小さなアーモンドマフィンのようなものに、鴨のレバーペーストを付けて頂く。このほんのりとした甘みと濃厚なレバーペーストが良くマッチして美味しい。

state-avocadoアボカド 5ドル(ワゴンより、crunchy quinoa-hass avocado with lime pickle yogurt $5)
アボカドの周りにはキノワ(quiinoa)というヘルシーな穀物が付いている。ライムとヨーグルトを混ぜたような酸味のあるソースが良いアクセントになっている。

state-porkポークベリー 10ドル(ワゴンより、pork belly with winter citrus $10)
本来なら脂っぽい豚の脇腹肉なのだが、あっさりしたドレッシングのようなソースをかけて、上に乗ったグレープフルーツとブラッドオレンジを一緒に食べるととてもあっさり感じられて、非常に美味しい。味付けもさることながら、素晴らしい酸味と旨味のバランスの創作料理。

state-hamachiはまちのカルパッチョ 8ドル(ワゴンより、hamachi-avocado seaweed crostini $9)
海苔で作ったプレートの上にはまち、アボカド、生姜のようなもの、少し酸味のあるソースが乗って、海苔のプレートごと頂く。見た目の美しさもさることながら、味も刺身の概念を打ち破るような格別な味。

state-octopusタコのマリネ 7ドル(ワゴンより、charred spanish octopus in tomato salsa $7)
タコは非常に柔らかくマリネされており、ちょっぴり辛めのトマトソースとの相性も抜群で美味しい。

state-chipsまぐろと豆のチップス 8ドル(ワゴンより、tuna crudo & confit with chickpeas & cumin $8)
まぐろと枝豆、ひよこ豆などを混ぜたディップにサワークリームなどを付けてチップスと一緒に頂く。これはまぁまぁ。

state-pancakeチーズパンケーキ 7ドル(オーダー品、pancake: sourdough, sauerkraut, pecorino & ricotta $7)
リコッタチーズとペコリーノチーズが生地に練り込まれており、焼けたチーズの香りとしっとりとしたパンケーキ。右側にあるドイツのザワークラウトという酸味の強いキャベツの漬物をパウダー状にしたものを付けると酸味がプラスされて更に美味しい。

state-beefビーフのグリル 16ドル(オーダー品、grilled beef with maitake, brussels sprouts & umeboshi vinaigrette $16)
グリルされた牛肉に舞茸、ちんげん菜等が入っている。酢と塩胡椒のソースにほのかに梅干しが使われており、和のテイストを上手くミックスした一品。オーダーして大正解。

state-dumplingダンプリン 3ドル(ワゴンより、guinea hen dumpling with aromatic broth $3)
ほろほろ鳥が入ったダンプリングにブロスという肉・魚・野菜などを煮出したスープをかけたもの。普通に美味しい。

state-milkピーナッツミルク(サービス、‘world peace’ peanut muscovado milk)
スタンディングの席だったので、サービスで頂いた品。クリーミーでピーナッツの味がほのかにするミルク。

state-iceアイスクリームサンドイッチ 8ドル(オーダー品、chicory ‘ice cream’ sandwich, coconut caramel & pecans $8)
中に大きなレーズンが入っている。サンドに使われているクッキーはサクサクというよりもちょっとしっとり、もっちりとした崩れにくいタイプ。上にはココナッツキャラメルとピーカンナッツが乗っている。見た目よりも甘過ぎない。

state-chokoyakiチョコ焼き 8ドル(オーダー品、black sesame-walnut chocoyaki, roasted strawberries, whipped ricotta $8)
黒ごまとウォールナッツの柔らかい生地にスプーンを入れると中からチョコレートが溶け出してくる。日本のスイーツのよう。ストロベリーソースとリコッタチーズに付けて頂く。こちらも甘さ控えめ。

このState Birdでは、本当にオリジナリティ溢れる創作料理を、とても上手く調理しており、どれを食べても外れが無い。1年前の訪問よりレベルアップしていると思われ、予約が取れないのも納得。飲茶スタイルという斬新な提供スタイルも、数多くのスタートアップが存在し、街全体がアーリーアダプターで溢れているサンフランシスコらしくてとても良い。アメリカ人と比較すると小食な日本人にとっては、大きなポーションのものをどーんと一皿食べるよりも、色々な品を少量ずつ食べられるこのタパススタイルは非常にマッチするだろう。友人にも自信を持ってお勧め出来るお店だ。

2016年11月14日更新

その後何度もこのレストランを訪れているが、最近の訪問は出てくる品がほぼ同じなのにも関わらず味が少しずつ落ちている。行く度に違った品が出てきたオープン当初に比べて、よく売れる品に安座しているように感じる。特にミシュラン一つ星を取ってからのここ2年は、それが顕著だ。昨日の訪問は本当にがっかりした。毎回少しづつ値上げしており、もはや飲茶スタイルの悪いところだけが出てしまっている印象。相変わらずオープン前には長蛇の列が出来ているが、サンフランシスコきっての有名店の一つの為、観光客の多い店になってきているのかもしれない。
今後いいニュースを聞かない限り、しばらくこの店に行くことはないだろう。

2016年11月14日再評価
味 -4点
コストパフォーマンス -4点
独創性 -2点

SF BiteBite’s評価(総合80点)

味 31点(40点満点)
コストパフォーマンス 14点(20点満点)
サービス 9点(10点満点)
雰囲気 9点(10点満点)
独創性 8点(10点満点)
清潔感 9点(10点満点)

State Bird Provisions(サンフランシスコ・ウエスタンアディション)

http://statebirdsf.com
1529 Fillmore St (between Ofarrell St & Geary Blvd)
San Francisco, CA 94115
(415) 795-1272
Mon-Thu 5:30 pm – 10 pm
Fri-Sat 5:30 pm – 11 pm