Octavia/オクタヴィア(カリフォルニア料理)総合89点
リピート確実!高コスパのミシュラン一つ星店
先日記事にした通り、2016年のミシュランガイドでは、一つ星のカテゴリーが新規の星獲得ラッシュとなった。この新規14店舗の中から、筆者お気に入りのお店「オクタヴィア(Octavia)」をご紹介したいと思う。このお店はミシュラン一つ星ながら、比較的手の届きやすい価格帯。円安の最中サンフランシスコを訪れる観光客の方にもお勧めのお店だ。
同店は、サンフランシスコのロウワー・パシフィックハイツ地区という住宅街に2015年春にオープンしたばかりの真新しいレストランながら、既に予約はかなり取りづらくなっている。それもそのはず、オクタヴィアはカストロ地区の大人気レストラン「フランセス(Frances)」の姉妹店なのだ。
オーナーシェフのメリッサさん 出典:SF Chronicle紙
フランセスは、メリッサさん(Melissa Parello)という女性オーナーシェフのお店。2009年のオープン後、サンフランシスコで最も予約の取りづらいレストランの一つとなり、筆者自身も当時、試行錯誤してこのお店の予約を取ったものだ。現在もその予約の取りづらさは健在。サンフランシスコ界隈に住む、日本人の友人の間でも評判が良く、このお店を一番のお気に入りレストランとして挙げる人も多い。そんなお店の姉妹店なので、期待を膨らませて、そして予約も一ヶ月ほど前に抑え、満を持して訪問した。
店内に入ると、上品で清潔感を感じると同時に、メタルフレームのラックが飾られていたり、木の質感を出した少し荒っぽいテーブルが置かれている。上品さとカジュアルさを合わせ持つ、まさに今のサンフランシスコの姿。
メニューは至ってシンプルで、お口取りサイズの前菜6品、前菜4品、メイン4品の計14品が並んでいるだけ。
彼女の料理の特徴は、素材の持ち味を活かすことに非常に長けていること。メニューを見ても、メインの食材自体に珍しいものが入っているわけではない。しかし、実際に食べてみると、絶妙な味付けや未知のスパイスとの出会いで、いつも食べている素材の味とは違った味に仕上がっているのだ。
デビルド・エッグ 5ドル(Deviled egg $5)
アメリカでよくあるデビルド・エッグという料理は、半分に切ったゆで卵の上に、ピクルスやトッピングをのせるものなのだが、これは、ポーチドエッグを漬物のように漬け込み、その上にフレズノペッパーやマラッシュペッパーといった複数種のスパイスをのったもの。卵は中を割ると黄身が溢れ出すような感じ。黄身の濃厚さとスパイスが意外なマッチングを見せる。
グリルした牛タン 8ドル(Grilled beef tongue “Picadillo” $8)
グリルした肉厚の牛タンを、シチューのように仕上げたもの。この中にトマトや、レーズン、グリルしたポテトなどが入っている。単に材料を合わせて煮込んだのではなく、グリルしてから混ぜていることで、牛タンもポテトも外側のカリッとした食感が残っている。スパイスが効いたソテー汁は飲み干したくなるほどの美味しさ。
パン
筆者のお気に入りベーカリーのジョシー・ベイカー(Josey Baker)のパン。ホールごと焼いて、熱々の状態でテーブルに運ばれる。外側カリッと、中はモチッとした食感はやはり彼ならでは。他に自家製パンも用意されている。
トマトサラダ 12ドル(Tomato salad $12)
トマト、グリーンファロという古代穀物、パースレーンという葉野菜(オメガ3が豊富な珍しい野菜)、キュウリを混ぜたサラダ。上にのっているのは白ゴマと、ウルファペッパー(Urfa pepper)という珍しいトルコのスパイス。
何の変哲もないトマトのサラダに見えるのだが、これがとても美味しい。ウルファペッパーがトマトの甘みを引き出している。
サフラン・トンナレッリ 14ドル(saffron tonnarelli $14)
サフランを練り込んだパスタに、トマトコンフィ、トーストしたガーリックがのっている。ソースはシェリー酒、フェンネルにガーリックをガツンと効かせたもの。トマトコンフィとは、湯むきしたトマトにオリーブオイル、ガーリック、塩・胡椒、ハーブをまぶして低温のオーブンでじっくり焼いたもの。そうすることで、トマトの甘味と旨味が凝縮されるフランス料理。「ニューヨークで食べたアメリカのパスタがまずい」と言い続けていた日本から来訪中の友人も、このパスタには舌鼓を打った。
牛リブアイ・ステーキ 38ドル(Brandt Farms beef rib-eye $38)
Brandt Farmsというファームのリブアイ・ステーキ。リブアイは柔らかくアメリカでよくステーキとして使われる部位。付け合わせは、ピラシカバ・ブロッコリー(ピラシカバはブラジル・サンパウロ州の都市の名前)という珍しい品種の葉ブロッコリーを、ホワイト・チェダーチーズのフォンデュ仕立てにしたもの。極々レアに焼かれたステーキは肉の旨味十分で、もちろん美味しいが、付け合わせの野菜もコクとフレッシュさがあって美味しい。
ポークチョップ 32ドル(Long & Baily pork chop $32)
Long & Bailyというファームの、分厚くて、サイズも大きいポークチョップ。付け合わせはエスカロールというエンダイブの一種の葉野菜と、シャンテレル・マッシュルームを炒めた後に少量の水で蒸し煮にしたもの。中は綺麗なピンク色の焼き加減で、しっとり柔らかなポークチョップは全くくどくなく食べ進められる。最近、アメリカらしからぬポーションの少ないお店が多い中、ステーキもポークチョップも、とても気前の良いポーション。
チョコレート・スフレタルト 9ドル(Warm chocolate soufflé tart $9)
暖かくて、中からしっとりしたチョコレート生地がとろっと流れ出てくるスフレ。ビターなココアタルト生地の中にスフレが入っている。添えたアイスクリームは塩キャラメル。暖かいスフレのしっとり感と、サクサクのタルトが絶妙。甘さ加減もちょうどよく、デザートも美味しい。
サーバーの動きはスマートで、放置することなく、構い過ぎることもなく、居心地がいい。
店内はエレガント過ぎず、こぢんまりとしたCozyな空間と美味しいお料理のコンビネーションは、身の丈に合ったお店を好むサンフランシスコの人々にも、今の筆者にも、日本から来ていた友人にもぴったりのお店だった。
サンフランシスコ界隈にはこれだけの数のレストランがあり、新店舗もどんどんオープンしている中、同じレストランに足を運ぶことは稀の筆者。しかし、オクタヴィアは訪問後またすぐに予約したくらい気に入った。2回目の訪問は2ヶ月後だったが、初回とはメニューが一新されていた点もポイントが高い。メインのポーションがとても大きいので、2回目はメインをシェアしたところ、ドリンク抜きの一人当たりの金額は、税込チップ抜きで50ドル以下だった。ミシュラン一つ星のお店で、お腹一杯食べてその金額はかなりお値打ち。また通ってしまいそうだ。
SF BiteBite’s評価(総合89点)
味 36点(40点満点)
コストパフォーマンス 17点(20点満点)
サービス 9点(10点満点)
雰囲気 9点(10点満点)
独創性 9点(10点満点)
清潔感 9点(10点満点)
Octavia(サンフランシスコ・ロウワーパシフィックハイツ地区)
http://www.octavia-sf.com/
1701 Octavia St
San Francisco, CA 94109
(415) 408-7507
Sun-Sat 5 pm – 10:30 pm
予約はこちら