Ad Hoc/アドホック(ニューアメリカン)総合81点

フレンチのスターシェフによるアメリカン@ナパ

adhoc-ent全米一予約が取れないと言われているナパの高級フレンチレストラン”French Laundry(フレンチ・ランドリー)”と同じThomas Keller(トーマス ケラー)氏がプロデュースのお店。ナパにはフレンチ・ランドリーの他にケラー氏のお店が3軒あり、フレンチビストロのBouchon(ブション)、ニューアメリカンのad hoc(アドホック)、ベーカリーのBouchon Bakery(ブション・ベーカリー)で、これらは全てナパで美味しいレストランの集まる街『ヨントヴィル』の徒歩5分圏内にある。
このトーマス・ケラー氏はナパのフレンチ・ランドリーに加えてNew YorkのPer Se(パーセ)でも三つ星を獲得しているスーパースーターシェフで、アメリカで初の2つの異なるお店で同時に三つ星を獲得した人物でもある。

adhoc-insideアドホックは名前の意味がラテン語でその場しのぎの、とか特別の目的のためといった意味を持つ通り、元々テンポラリー(期間限定)のレストランとしてオープンした。しかし好評が良く、人気店に成長していたため恒久的に営業することとなったというストーリーがある。

メニューは超シンプルで、1つのコースのみ。サラダ+肉料理+チーズ+デザートの4品のコースで、52ドル(税・サービス料別)となっており、その中身は日替わりで当日レストランを訪れるまで分からないお任せとなっている。これに魚料理を足すと+16ドル程。4つのワインのワインペアリングを付けると+45ドルとなる。

adhoc-barアドホックは、フレンチ・ランドリーをカジュアルにしたブションより更にカジュアルで、客層もブションより若めの印象。料理はファミリースタイルといって、全ての品が1人1品ずつ出てくるのではなく、大皿で出てきて自分たちで取り分ける。

adhoc-breadお通しのパン。系列のブション・ベーカリーのものだろうか。以下コースとワインペアリングの品をご紹介する。料理の写真は全て2人前である。

adhoc-saladルッコラのサラダ(Argula Salad)
ルッコラ、人参、リンゴ、柿の上にフェンネルとピーカンナッツを乗せたもの。ソースは粒マスタードのヴィネグレットソース(フレンチドレッシング)が下に敷かれている。あっさりとしたサラダ。

adhoc-whitewineワインペアリング1(Brovia Arneis 2011)
サラダのペアリングのワインはこちらもあっさりとした爽やかな白ワイン。イタリアのピエモンテ州のアルネイスという品種100%の白ワインで中辛くらいか。

adhoc-pork豚のすね肉の蒸し煮(Braised Pork Shank)
写真だとサイズが分かりにくいが、かなり大きな塊の骨付きすね肉を自分達で取り分ける格好。付け合わせにケール、スクワッシュ、パドロンペッパー(ししとうのようなもの)、レッドオニオン、カブ等の野菜のソテーが付く。

adhoc-polentaまた、サイドディッシュでポレンタといって北イタリアの伝統料理であるトウモロコシの粉を水とチーズで煮込んだものが付く。ポレンタは至って普通のポレンタだったが、豚のすね肉が非常に柔らかくて美味しい。味付けはやや塩気が足りない、メープルと生姜を使ったやや甘い味付け。油部分が少ないお肉だったのでサイズが大きい割に意外とあっさりといただけた。

adhoc-redwineワインペアリング2(Red Car Syrah 2010)
豚の煮込みのペアリングワイン。ソノマをもっと北に行ったRed Carというワイナリーのソノマ・コースト・シラーというワイン。このワイナリーはピノ・ノワールが有名だが、それより前からシラーを造っていたよう。タンニンがそれほど強くなく、といって軽くもなく、口当たりが良い。果実味とスパイスがミックスしたような味わい。小売価格はボトルで35ドル。

adhoc-cheeseチーズ(Bellwether Farm’s Carmody)
ソノマ近郊のペタルマというチーズメーカーが多数存在する街にあるベルウェザーファームというアルチザンチーズメーカーの牛乳を使ったセミハードチーズ。セロリと干しぶどうのサラダが付く。ややフレッシュ感の残るチーズで、個人的にはもう少し熟成したものが好みだが、これはこれで美味しい。

adhoc-whitewine2ワインペアリング3(Lopez De Heredia Reserva Vina Tondonia 1998)
スペインのワイン。初めの白ワインよりはしっかりしているがこちらも軽めですいすい飲める。

adhoc-sundae1デザート(Ice Cream Sundaes)
個人的にデザートが面白かった。自分でパフェを作る為のセットが出てきたのだ。最初にバニラアイスクリームが入っただけのグラスが出てきて、それとは別にグラノーラ、生クリーム、チョコレートとキャラメルの2種類のソース、パンプキンケーキが出てきて、お好みで加える格好。

adhoc-sundae3仕上がるとこんな感じで、子供はもちろんだろうが大人でも楽しかった。

adhoc-dessertwineワインペアリング4(Toro Albala pe)
最後はデザートワイン。リキュールに近く、これをパフェにかけると大人味のリキュールの効いたパフェになって更に美味しい。

このレストランの看板メニューはバターミルク・フライドチキンで隔週の月曜に提供されており、それを狙って予約する方も多いようだ。フライドチキンのようなB級料理がスペシャルティだなんて、何故?と思うかもしれないが、ハーブやスパイスを多用し、下ごしらえにかなり手間隙をかけた一品なのだ。レシピは英語だがこのサイトに出ているが、使う材料だけでも20種類以上でその多さを見ただけでも家庭では作る気を失うレベルなので、一度はお店で食べてみたいところ。

総じてお料理は美味しかった。日替わりのお任せコースなので、日によって好き嫌いなどばらつきがあるかもしれない。しかし、逆にメニューを読む必要が無く、観光などで来て英語でのメニューの読解・注文に躊躇する場合は楽に感じるだろう。
ワインペアリングはこれも日によるだろうが、軽めのワインが多かった。45ドルで4杯なのだが、一杯の量が通常の半分以下しか注がれないので、ペアリングのコストパフォーマンスはイマイチ。個人的には最後のデザートワイン以外はそんなに合っているとも感じなかったので次回はペアリングをスキップするつもりだ。

adhoc-ent1帰る頃も満席の店内。日曜のみブランチも営業しているので、ナパに一泊した後のブランチ先としても使えそう。ブランチもお任せコースのみとなっている。

SF BiteBite’s評価(総合81点)

味 31点(40点満点)
コストパフォーマンス 16点(20点満点)
サービス 9点(10点満点)
雰囲気 8点(10点満点)
独創性 8点(10点満点)
清潔感 9点(10点満点)

Ad Hoc(ナパバレー・ヨントヴィル地区)

http://www.adhocrestaurant.com/
6476 Washington St
Yountville, CA 94599
(707) 944-2487
Mon, Thu-Sat 5 pm – 10 pm
Sun 10 am – 1 pm
Sun 5 pm – 9 pm
予約はこちら

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