A.P. VIN/エーピー・ヴァン(ワイナリー)
マイクロ生産者の波はマイクロ・ワイナリーにまで
サンフランシスコといえば、コーヒーの世界のマイクロ・ブリュー・コーヒーもしくはマイクロ・ロースター、ビールの世界のマイクロ・ブルワリーがとても盛んな街だが、その波はワインにも及んでいる。2003年に出来たこのワイナリーはサンフランシスコ市内でワインを作り始めて今年で10年目になる。しかし、テイスティングをスタートしたのは今年の1月からだという。隣にサザン・パシフィック・ブリューイングが出来るまで、ワイナリーの前を通る通行人がほとんどいなかったが、人気のバーが出来て以来多数の通行人が通るようになり、テイスティングをスタートしたとのこと。
まさに私もそのうちの一人で、サザン・パシフィック・ブリューイングの帰り道にて、この看板に誘われてふらっと中へ。4席のみの小さなテイスティングルーム。
このワイナリーでの生産はピノ・ノワールのみ。ワイナリーといっても葡萄の生産は行っておらず、複数の小さなアルチザンブドウ園から葡萄を仕入れ、その後の作業は実際にこの工場内で行っている。仕入れ先は全てカリフォルニアで、ソノマ、モントレー、サンタ・バーバラの三カ所から。生産はあくまでも少量生産(年間2,000ケース)で品質にこだわって、地産地消しているあたりがサンフランシスコのワイナリーらしい。ワイン・アドヴォケイト(Wine Advocate)のワイン批評家でカリフォルニアを担当していたアントニオ・ガローニ(Antonio Galloni)氏が昨年のヴィンテージである2011年ものに平均して91点を付けるなど、外部からの評価もまずまずのようだ。
少し作っている風景を見せてもらった。こちらのプラスチックのタンクを開けると中は葡萄を発酵しているところ。
発酵を遅くさせる為にドライアイスを入れているので、見た目に白いところがあるが、翌日になるとスムーズになっているそう。これを2週間繰り返す。低温で発酵をゆっくりさせることで、美しいブライトなカラーとフレイバーが抽出されるんだとか。
抽出、濾過をした後はフレンチオーク樽で11ヶ月熟成させる。
テイスティングは3種のピノ・ノワールで10ドル。ボトルを購入の場合は48ドルとなっており、小売価格よりここで買うと4ドル程安いようだ。
テイスティングは左から順に
2012 A.P. Vin Keefer Ranch Pinot Noir, Russian River Valley, USA
2012 A.P. Vin Garys’ Vineyard Pinot Noir, Santa Lucia Highlands, USA
2012 A.P. Vin Clos Pepe Vineyard Pinot Noir, Sta. Rita Hills, USA
最初のものは甘めでフルーティな感じ、2番目はスパイシーで複雑な味わい、3番目は最初と2番目の中間のような甘さとスパイシーさのバランンスを取った印象。個人的には2番目のスパイシーなものが好みだった。
ワインは生産量の半分がレストランやホテルや卸販売へ、残り半分が個人顧客に販売されているという。直ぐに飲むというより、2〜7年寝かせても美味しいとのこと。
ナパやソノマまで行かなくともワインテイスティングが出来るこちらのワイナリー、味はかなり美味しく、日本での取り扱いは無いワイナリーなので、サンフランシスコでしか味わえないものとして休憩ついでに寄ってみてもいいと思う。
A.P. VIN(サンフランシスコ・ミッション地区)
http://www.apvin.com/
622 Treat Ave
San Francisco, CA 94110
(415) 218-7161