Commis/コミ(カリフォルニア料理)総合91点

オープンからたった4ヶ月でミシュラン1つ星を獲得

commis-ent店名のコミとは、フランス語で下っ端の料理人のこと。初心を忘れないという意味と、それくらい気楽な店でありたいというオーナーの気持ちが表れている。ガラス貼りの入り口には看板もなし。家に遊びにくるように訪れて欲しいとのことだ。

2009年の6月の終わりにオープンしたこのレストランは、2009年10月にはミシュラン1つ星を獲得。オープンからたった4ヶ月もたたない中での快進撃だ。また、オークランドで初のミシュラン獲得レストランとなり、現在もイーストベイエリア全体でミシュランスターを保持しているレストランはここ一軒しかない。

このお店、メニューは無い。プリフィクスコースのみで、そのコースも何が出てくるか分からない状態で食事をスタートするという完全お任せタイプ。その為、アレルギーや食べられないものがある場合は予約時に伝えておく必要がある。以下一人85ドルのプリフィクスコース(全8品+αで3品)。ワインペアリングを行う場合は45ドル追加で、7種類のワインが2オンス(約60ml)ずつサーブされる。

commis-James-Syhaboutシェフ兼オーナーのジェームス・スィハボー(James Syhabout, 写真左側)は母親がタイ出身のシェフ、父親が中国出身で、産まれながらにして両国の調理方法に親しみがあった。料理学校卒業後、世界の最高峰レストランであるロンドンのファット・ダック(Fat Duck), スペインのエル・ブジ(El Bulli)といったミシュラン三つ星で修行を積み、帰国後はサンフランシスコのクワ(Coi), ロスガトスのマンレサ(Manresa)といったミシュラン2つ星レストランで実績を積んだ後のオープンだ。エル・ブジは世界で一番予約が取れないお店と言われ、私も2008年当時スペイン訪問に合わせてトライしたがもちろん予約は取れなかった。

commis-kitchen店内は31席と席数は多くない。細長い店内の中央はオープンキッチンとなっており、目の前で作られる料理を見られるハイチェアー席もある。

commis-roseグラススパークリング 15ドル(Raventos I Blanc, Rose Brut, de Nit, Barcelona, ‘10 $15)
何故かこのお店はシャンパングラスを使わないようだ。ラヴェントス・イ・ブランというバルセロナのロゼなのだが、フルーティながらロゼとは思えないくらい辛口で、細やかながら力強い泡もとても心地いい。美味しくてすっきりしていて気に入った。後で調べてみたところRPポイントで93点を獲得しているものだった。市場単価は$22でボトル価格が$48なので約倍と妥当なライン。

commis-amuseアミューズ 2品(Caramelized onion financier & Herbed toast with trout roe)
カラメル状にしたオニオンのフィナンシェと、バケットの上に塩味の効いたマスの卵をのせたもの。特にオニオンのフィナンシェがリッチで美味しく、ナパバレーにあるミシュラン三つ星レストランのフレンチランドリーを訪問した時のような、アミューズだけでいいお店であることが実感できる。

commis-oyster生牡蠣とジュレ(Pacific coast oyster and jellied smoked oyster consommé)
太平洋岸でとれたオイスターに、オイスターのエキスをたっぷり入れたコンソメジュレをのせたもの。コンソメジュレだけ食べてもオイスターを食べているかのようなエキスの入りっぷりでこれまた美味しい。

commis-white-wineスパークリング白ワイン 38ドル(Hondarrabi Beltza/Zuri, Getariako Txakolina, Ulacia, ’11 $38)
白ワインにスイッチ。もともとスパークリングをボトルで頼むつもりだったのだが、お目当てのものが品切れで、店員さんにセレクトしてもらったスペイン産のもの。火山から来るミネラルが豊富で、細かな気泡が入った軽めの味わい。アルコール度数も10.5%と低め。味的にはリースリングに気泡を入れたようなすっきりとした感じで何の食事にも合う。

commis-salad夏のフルーツと野菜の盛り合わせ(Summer fruits and vegetables with salted corn pudding, safflower vinaigrette)
見た目にも美しいこちらは、メロン、マスカット、ミニトマト、ビーツを綺麗に並べて、塩味のあるコーンを使ったソースを合わせている。野菜は単品で食べても甘みが強く、フルーツとコーンのソースと合わせると抜群の甘みと酸味と塩味のバランスとなる。

commis-scallops帆立のあぶり(Seared sea scallops with braised turnip, chanterelles in fresh chamomile emulsion)
風味を閉じ込めるために帆立の貝殻を被せた状態でサーブされる。

commis-scallops2殻を取ると、中には帆立、蒸したカブ、シャントレルというフランスのきのこに、カモミールの泡ソースが付く。帆立の火入れ加減が素晴らしく、底面だけを焼いて上はほとんど生の状態。旨味のあるきのこと泡のソースがまたぴったりで美味。

commis-breadこのタイミングでパンがサーブされる。レストランで日々焼いているというこちらのパン、美味しいので始めに出されて食べ過ぎるより良いと思う。

commis-eggポーチドエッグとポテトのスープ(Slow poached egg with sweet and savory spices, warm potato)
62℃の低温温度でゆっくり調理された、黄身の横に数種類のスパイスを並べ、テーブルにて暖かいポテトスープを注ぐ。黄身は中がトロトロ&クリーミーで、クランチーな食感のスパイスとリッチなポテトスープを混ぜて頂く。美味しくないはずがない。このお店でオープン当時から出している定番メニューのようだ。

commis-halibutオヒョウのコンフィ(Northern halibut confit with beans, padron pepper and ash)
オヒョウというカレイに似た白身魚を、低温でゆっくり加熱して半生に仕上げたもの。先ほどの帆立同様、火入れ加減が抜群で完璧に調理されている。肉や果物のコンフィはよくあるが、魚のコンフィは珍しい。上には野菜の天ぷら、下にはピンク色のソースとパドロンペッパーを使った緑のソース、しそのパウダーという面白い組み合わせ。

commis-tisaneきのこのスープ(Tisane of button mushrooms)
複数のきのこを入れてそのエキスを煮出したスープ。お肉料理に移る前の口休めといった感じ。とは言え全く手は抜かれておらず、旨味が詰まっていて、ほっと落ち着く感じのスープ。お皿はサウサリート発の有名陶器メーカー、ヒースセラミックスのもの。

Commis-red-wine赤ワイン(Valdiguie, Turner Vineyard, Knights Valley, Paul Mathew, ’12 $13)
お肉料理の前にグラスで赤ワインを。タンニンが少なく、ジューシーな果実感が後引きする感じのワイン。軽過ぎるわけでもなくなかなか美味しい。ボトルで頼んでも40ドルなのでやはりワインのラインナップがお値打ち。

commis-duck鴨のロースト(Duck with figs, roasting juice with lemon verbena and vineger)
鴨の胸肉のローストに、いちじくやブルーベリーを合わせたもの。お肉がとても柔らかく、かつジューシーで、焼き加減も味付けも抜群。肉はレアな火入れながら皮の部分だけはパリパリになっている。とても美味しくてあともう3皿は同じものが食べれそうなくらい。ちょっとポーションは少ないのが残念。

commis-floatプラムとマリーゴールドのフロート(Wild plum and marigold float)
デザート前のお口直し。ミルキーなジュースの中にはプラムとマリーゴールドのシャーベットが浮いている。

commis-dessertネクタリンのケーキ(Nectarine biscuit with redwood, toasted oat ice cream with lavender)
最後の一品はデザートかチーズを選択するようになっている。ネクタリンというカリフォルニア産の桃を使ったしっとりしたケーキに焼いたオーツ麦のアイスクリーム。ネクタリンには黄色と白があり、白の方が甘いのだが、これは黄色を使っているため、爽やかな酸味とピュアなミルクの味わいのアイスが良く合う。ポーションはやはり少なめ。

commis-cheeseチーズの盛り合わせ 5ドル追加(American artisan cheeses with compote of berries and seed raisin bread + $5)
アメリカ産のアルチザンチーズの盛り合わせ。チーズを選択した場合は+5ドルとなる。ブルーベリーのコンポートとレーズンパンが付く。

commis-mignardiseミニャルディーズ(mignardise)
だんだん店内が暗くなってきた。フレンチでよくあるデザートの後の小菓子。左から焼いたカラメル菓子、ラズベリー、ジェリー。面白かったのがラズベリーで中にチョコレートが入っており、いちごで言うへたの部分がカカオ豆でコーティングされていて、食感も楽しい。

commis-menu食事が終わると本日のメニューを包んだ封筒をくれて、種明かしという感じ。

全ての料理が良く計算されており、味も抜群。看板のないところや、少量・多種のお任せコースのみというコンセプトも好感が持てる。このレストランは完全に私の新たなお気に入りとなった。お料理のモダンさや盛りつけはサンフランシスコのコモンウェルス(Commonwealth)と良く似ていると思うが、こちらの方がサプライズ性や予期しない新しい品が来る楽しみがある。唯一の欠点は1つ1つのポーションが小さいことだが、品数が多く時間をかけて食べるので十分お腹いっぱいになる。

NY Times紙ではこのように紹介されていた。『このレストランはサンフランシスコにオープン出来なかったからオークランドにオープンしたのではなく、シェフはオークランドで育ち、ファーマーズマーケットが週4回と十分にあり、新鮮な野菜・肉・魚が手に入るこの環境が彼のレストランをオークランドにオープンさせた理由だ。』食べてみてこの言葉に納得なのは、魚や肉の火入れがレアなものが多く、新鮮でなければ出来ないことなのだ。
客側にもオークランドに行くメリットはある。オークランドはやはり賃料が安いのでオペレーティングコストが下がり、それはコース料理の値段に跳ね返ってくる。同じコースをサンフランシスコで食べたら100ドルは超えるだろう。参考までに同じような感じのコース料理を提供しているサンフランシスコのクワ(Coi)はコース$175だ。ちなみに本日のお会計は2人でチップ込みで300ドルちょっとだった。

ワインの品揃えも良い。プライスレンジが下は40ドル前後でも十分な品揃えがあり、好みとお財布事情に合わせて楽しめるラインナップとなっているのは嬉しい。ちなみに上は300ドル前後まで揃えられている。

ベイブリッジを渡ってオークランドまで行く価値、大アリのレストランだ。

SF BiteBite’s評価(総合91点)

味 36点(40点満点)
コストパフォーマンス 17点(20点満点)
サービス9点(10点満点)
雰囲気 9点(10点満点)
独創性 10点(10点満点)
清潔感 10点(10点満点)

Commis(オークランド・ピエモントアベニュー地区)

http://www.commisrestaurant.com/
3859 Piedmont Ave
(between Rio Vista Ave & Montell St)
Oakland, CA 94611
(510) 653-3902
Wed-Thu 5:30 pm – 9 pm
Fri-Sat 5:30 pm – 9:30 pm
Sun 5 pm – 9 pm
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